登山をすると、山頂から下りればやがて低地に戻る。ところがレソトという国では、その「低地」がすでに高い。南アフリカに四方を囲まれたこの国では、最低地点でさえ標高約1400メートル。国土のすべてが標高1000メートル以上にある。
最高峰の高さで比べれば、世界にはレソトより高い山を持つ国がいくつもある。しかし国の最も低い場所を比べると、レソトは非常に特徴的だ。国全体が南部アフリカの高原と山地の上に広がり、川の谷に下りても平地の海抜ゼロには近づけない。
そのため、アフリカという言葉から想像しがちな暑さとも少し違う暮らしがある。冬には雪の降る場所があり、山地では放牧や高地に適した農業が行われてきた。険しい斜面は道路建設や物資の輸送も難しくする。
「山が高い国」という言い方なら、標高の高い山が一本あれば当てはまる。レソトの特徴を正確に伝えるなら、山頂よりも国の最低地点を調べたほうがいい。高い山があるのではなく、国土全体が高い位置に置かれている。
