カバが潜っている場所といえば、アフリカの川や湖だろう。ところがギニアビサウ沖のビジャゴス諸島では、海岸近くに現れるカバが知られている。マングローブが広がる島にカバが暮らし、潮の影響を受ける水域へ出てくることもある。
「海のカバ」と呼ばれることがあるものの、海水の中で一生を送る特殊な別種という意味ではない。普通のカバと同じ種であり、日中は水中で休み、夜は陸地で草を食べるという基本的な暮らし方も変わらない。島という地形が、水辺の利用のしかたを変えている。
ビジャゴス諸島には多数の島があり、干潟やマングローブ、草地が入り組んでいる。潮が満ちると水路の形が変わり、人も動物もその地形と付き合わなければならない。ユネスコはこの一帯を生物圏保存地域として位置づけ、希少な生き物の生息環境を守る重要性を紹介している。
カバが海岸へ出てきたとしても、波のある外洋を泳ぐことが得意な動物に変わったわけではない。川と海、島と陸が複雑に混じる場所だからこそ生まれる、珍しい光景なのだ。
