2007年9月、世界の大半が21世紀に入ってから7年近くたったころ、エチオピアでは「2000年」の新年が祝われた。時計が遅れているわけではない。使われている暦の数え方が、西暦とは異なるのである。
エチオピア暦では、1年の最初の12カ月はきれいに30日ずつ。残った5日間、閏年には6日間を、「パグメ」と呼ばれる13番目の月にまとめる。普段の月がすべて30日なのに、最後の月だけが数日で終わるという仕組みだ。新年にあたるのは西暦の9月11日ごろで、雨季が終わりに向かう時期とも重なる。
年号が7~8年違うのは、キリストの誕生を基準に年を数え始める際の計算が、西欧で広く普及した方式と異なるからだ。13カ月あることも、単に月を一つ付け足した結果ではなく、古いキリスト教世界の暦の伝統につながっている。
新年の祝いは「エンクタタシュ」と呼ばれ、花や新しい服、歌などが行事に登場する。駐日エチオピア大使館の紹介によれば、子どもたちが花飾りや絵を配る習慣もある。暦は日付を調べる道具であると同時に、季節や祝祭を暮らしに結びつけるものでもある。
もちろん、外国との取引や旅行にまでエチオピア暦だけが使われるわけではない。国際的な場面では西暦も使い分けられる。同じ日を指していても、片方のカレンダーには2026年、もう片方には2019年と書かれる。エチオピアではそんな違いが日常の中にある。
