2018年4月、アフリカ南部の国スワジランドで、独立50周年と国王の誕生日を祝う式典が開かれた。その場で国王ムスワティ3世が発表したのは、祝賀の言葉だけではない。「スワジランド」という国名を「エスワティニ」に変えるという宣言だった。
エスワティニは、現地で使われるスワティ語で「スワジ人の土地」を意味する名称である。英語式の「スワジランド」から、自分たちの言葉に由来する名前へ公式表記を変えたことになる。国王は、英語ではスワジランドとスイスが混同されることにも触れていた。
国名変更で国土や国民が変わるわけではない。だが国際機関の一覧、外交文書、地図、輸送や貿易に使う書類の表記は更新しなければならない。国名は単なる地名ではなく、国家が外の世界に向けて名乗る名前だからだ。
もっとも、この決定が示すのは名前の歴史だけではない。エスワティニは現在も国王の権限が非常に大きい君主国であり、式典での発表がそのまま国家の正式名称に結びついたことには、政治制度の特徴も表れている。