中央アフリカ共和国の熱帯雨林には、空から見ると森に穴が開いたように見える場所がある。周囲は木々で覆われているのに、そこだけ広い湿地がむき出しになっている。ザンガ・バイと呼ばれる場所で、野生の森林ゾウが集まることで知られている。
ゾウたちが目当てにするのは、泥や土壌に含まれるミネラルなどだと考えられている。長い鼻で湿った土を探ったり、足を水に浸して歩いたりする。密林の中では動物の姿を追うのが難しいため、こうした開けた場所は研究者たちが森林ゾウの行動を観察する貴重な機会にもなる。
森林ゾウはサバンナゾウとは別種とされ、森林での暮らしに適応した体を持つ。ザンガ・バイが含まれる森は、隣のカメルーンやコンゴ共和国にまたがる「サンガ三国間保護地域」の一部だ。ゾウにとって国境は地図の線でしかなく、広い森がつながっていることが重要になる。
一方、森林ゾウは密猟などによって大きな脅威にさらされてきた。人間に姿を見せにくい動物だからこそ、湿地に集まる個体を調べ、森全体の保護につなげる研究が続いている。
