青い海に囲まれたソロモン諸島には、少し恐ろしい名前の海域がある。「アイアンボトム・サウンド」。日本語にすると「鉄底海峡」だ。
海の底に鉄鉱石が敷き詰められているから、というわけではない。そこにはかつて、数多くの軍艦や航空機が沈んだ。
第二次世界大戦中、ガダルカナル島の周辺では、日本軍とアメリカを中心とする連合国軍が激しく戦った。島の飛行場を巡る争奪戦は陸上だけでなく、夜の海でも繰り広げられた。艦隊同士の戦闘や輸送作戦が繰り返され、多数の艦船が失われた。
ガダルカナル島と周囲の島々に挟まれた海底には、そのとき沈んだ艦船が今も眠っている。日本の戦艦「霧島」や「比叡」も、この海域の戦いで失われた艦だ。あまりに多くの鉄の船が沈んだため、海そのものが「鉄底」と呼ばれるようになった。
驚くことに、現在のソロモン諸島では、戦争で沈んだ船や飛行機の残骸を見るダイビングが行われている。岸から近い場所に残された輸送船もある。
ソロモン諸島の海でのダイビングでは、沈没船が観光資源になる場合もある。しかしその場所は、戦争で多くの人が命を落とした現場でもある。水中の鉄の船体は、戦争の記録であると同時に、今では海の生き物のすみかにもなっている。