ナウルの内陸部を歩くと、無数の尖った石灰岩が地面から突き出している場所がある。かつてそこには価値の高いリン鉱石があり、世界へ輸出されていた。資源で豊かになった島の現在の姿は、その富がどう生まれたかを物語っている。
大油田があったわけではない。島を豊かにしたのは、鳥のフンに由来する成分を含むリン鉱石だった。
海鳥が長い年月をかけて残した排泄物などが、島の地質と関わりながらリンを豊富に含む鉱床の形成に寄与した。リンは肥料の重要な原料である。ナウルのリン鉱石は、海外の農地を豊かにするため、大量に掘り出されていった。
ただし、この物語には見落としてはいけない前半がある。採掘の利益は当初、外国の企業や統治国に大きく流れ、ナウルの人々が初めから十分な利益を得ていたわけではない。独立後に鉱業の管理権が移り、国はようやく資源から大きな収入を得るようになった。
ところが、リン鉱石は掘れば減る。そして採掘されたのは、島の内陸部の地面そのものだった。採掘跡には鋭い石灰岩が無数に残り、土地は農業や住宅に使いにくい姿へ変わっていった。採掘の影響は島の大部分、約8割に及んだとされる。
富が続く間に蓄えた資産も、投資の失敗や管理上の問題によって大きく減少した。豊かさを生んだ資源が減ったとき、代わりになる産業は簡単には育たなかった。
ナウルでは今もリン鉱石の採掘が続いている。だから「資源が完全になくなった国」という説明は正しくない。それでも、島の大半を掘り返して得た富が、失われた土地を元に戻してくれるわけではない。