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成体から子どもの段階へ戻り、成長をやり直すクラゲがいる

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更新日:2026-10-31
動物の写真。写真は本文の研究対象個体を撮影したものとは限りません。
動物のイメージ写真・本文の研究対象個体ではありません写真:Aida Ovalle / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0(表示領域に合わせてトリミング)

動物は普通、幼い姿から大人へ成長し、そのまま年を重ねる。蝶が成虫になったあと、幼虫へ戻ることはない。

ところが、地中海などに生息する小さなクラゲ、Turritopsis dohrnii には、成体から若い段階へ戻る能力がある。しばしば「不老不死のクラゲ」と呼ばれる理由だ。

傷つくと、大人の姿をやめる

このクラゲは、成体でも数ミリメートルほどの大きさしかない。ふだんは傘のあるクラゲの姿で泳ぎ、海中を漂う。

しかし体が傷ついたり、食べ物が不足したりすると、そのまま死ぬ代わりに、触手を縮め、泳ぐのをやめることがある。海底に付着した小さな塊のような姿になり、そこから「ポリプ」と呼ばれる若い生活段階へ変化していく。

ポリプは海底のものに付着して暮らし、やがて新しいクラゲをつくる。つまり、成体が一度、発生の時計を巻き戻しているように見える。

細胞の仕事まで変わる

これは単に体が小さくなるという話ではない。クラゲの成体とポリプでは体のつくりが違う。元の体で別の働きをしていた細胞が、ポリプとしての働きを担うように変化する。

このような変化は「分化転換」と呼ばれ、普通の動物では非常に珍しい。成体から幼い段階へ戻る能力が、発生と老化の研究で注目されている。

ただし、名前のとおり絶対に死なないわけではない。ほかの生物に食べられたり、環境が極端に悪くなったりすれば死ぬ。繰り返し若い段階へ戻れる可能性があるということで、どんな危険からも生き延びられるという意味ではない。

幼い姿を経て大人になった動物が、成体の姿をやめてもう一度成長し直す。クラゲの小さな体には、動物の寿命についての常識を揺さぶる仕組みがある。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. Immortal jellyfish: The secret to cheating death ↗Natural History Museum, London
  2. Transcriptome Characterization of Reverse Development in Turritopsis dohrnii ↗Genome Biology and Evolution (2019)

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