財布から「7ドル札」が出てきたら、偽札を疑うかもしれない。紙幣の額面といえば、1、5、10、20、50といった数字が一般的だからだ。ところがフィジーでは、本当に7ドル札が発行された。
理由は、ラグビーである。
2016年のリオデジャネイロ五輪で、フィジー男子代表は7人制ラグビーの金メダルを獲得した。しかも、これはフィジーにとってオリンピック史上初の金メダル。ラグビーが国民的な人気を誇るフィジーにとって、まさに歴史的な瞬間だった。
翌2017年、フィジー準備銀行は、この快挙を記念した7ドル紙幣を発行した。普通の銀行券とは異なる、なんとも中途半端に見える「7」という額面は、7人制ラグビーの7にちなんでいる。紙幣には優勝チームや選手たちの姿が描かれ、法定通貨として使えるように作られた。
中央銀行は、この紙幣が実際の支払いに使われるだけでなく、記念品として多くの人に保管されることも見込んでいた。額面としての7ドルと、歴史的な勝利を記憶するための一枚という二つの役割が重なっている。
フィジーはその後、東京大会でのラグビーのメダル獲得を記念した別の7ドル札も発行している。
国が紙幣に刻むのは、普通は王や政治家、歴史的建造物などだ。しかしフィジーの7ドル札には、スポーツで国中が沸いた瞬間がそのまま残されている。