スペインのカタルーニャ地方では、広場に人々が集まり、肩の上へ次々と人が登っていく。カステルスと呼ばれる伝統的な人間の塔だ。高いものでは十段ほどの高さになり、頂上へ小さな子どもが登ることもある。
注目されるのは一番上の人だが、塔を支えているのは下の大勢の参加者だ。人々が密集して腕を組み、土台をつくる。その上に体格や役割に応じて人が登り、少しずつ塔が伸びていく。誰かのバランスが崩れれば危険があるため、練習や役割の分担が欠かせない。
カステルスは高さだけを競う見世物ではなく、地域の団体が受け継いできた文化である。ユネスコの無形文化遺産にも登録され、参加者が集まって一つの塔をつくることが、共同体のつながりと重なっている。
頂上へ登る人の姿は目立つ。しかし、広場で見守る人々と、下で重みを支える人たちがいなければ、その高さにはたどり着けない。
