リスボンにあるベルトラン書店は、1732年に創業した。現存して営業を続ける書店として世界最古級とされ、ギネス世界記録にも紹介されている。しかし、この店が何百年も同じ場所で無事に本を売り続けたわけではない。
創業から23年後の1755年、リスボンを大地震が襲った。地震だけでなく火災や津波も発生し、街には甚大な被害が出る。ベルトラン書店も建物を失ったが、商売は途切れず、やがて再建された街で営業を続けた。
1773年にはガレット通りへ移り、現在の店舗がある場所につながる。店の中で扱う本は時代とともに変わり、印刷技術も出版の形も大きく進化した。それでも、読者が本を選び、買って帰るという日常は受け継がれてきた。
古い書店は古本だけを売る場所とは限らない。18世紀に始まった商売が21世紀の新刊を扱うという、時間の重なりそのものがベルトラン書店の魅力になっている。