地中海の島国マルタには、厚い石の壁が曲線を描きながら並ぶ、奇妙な遺跡がいくつも残っている。石材の中には人よりはるかに大きいものもあり、重機も鉄の道具も普及していなかった時代に運ばれた。
マルタの巨石神殿の中には紀元前4千年紀につくられたものがある。エジプトのギザの大ピラミッドが建てられるより古い。現在、ユネスコの世界遺産に登録されている神殿群には、ジュガンティーヤやハジャー・イムなど、形や保存状態の異なる遺跡が含まれる。
興味深いのは、その内部の間取りだ。単に大きな岩を一列に並べたのではなく、丸みを帯びた部屋が連なり、出入口から奥へと進む空間がつくられている。石に模様が刻まれた例もある。建設には石を切り出し、運び、積み上げる技術だけでなく、複数の人々が協力して作業する社会的な仕組みも必要だったはずだ。
宗教的な儀礼や共同体の行事に使われたと考えられているが、建設者がどんな言葉を話し、何を信じていたかは分からない。ピラミッドより前の時代に高度な石造建築があったという事実は、文明の発展が一つの地域だけで起きたものではないことを示している。
