ピサの斜塔は、写真を撮れば誰でも傾いていると分かるほど斜めに立っている。もし新築の建物が同じように傾いたら大問題だが、この塔では傾きが世界的な名物になった。
塔の建設は12世紀に始まった。初期の工事の段階で地盤が一様に沈まず、塔は少しずつ傾いたと考えられている。その後も建設や補修が重ねられたものの、傾きの問題は続いた。
20世紀末になると、安全性への懸念から塔は閉鎖され、大規模な安定化工事が行われた。地盤を調整して倒壊の危険を減らし、傾きをいくらか小さくする。しかし塔を完全に垂直には戻さなかった。傾いているという状態が、何百年にもわたる建築の歴史の一部だからである。
世界遺産に登録されているピサのドゥオモ広場には、塔のほかに大聖堂や洗礼堂もある。斜塔だけが独立した見世物として建てられたのではなく、宗教建築の一部としてつくられ、地盤の問題と長く付き合ってきた。
