ヨルダンのペトラへ向かうと、細い岩の峡谷の先に巨大な建築物の正面が現れる。柱や飾りは石を積み上げたように見えるが、実際には赤みを帯びた岩山を直接削ってつくられたものだ。有名な「エル・ハズネ」も、そのような岩窟建築の一つである。
ここに都市を築いたナバテア人は、アラビア半島と地中海を結ぶ交易路で栄えた。砂漠の中で人や物が集まる都市を維持するには、豪華な建築以上に重要なものがある。水だ。
ペトラでは、岩を削った水路や貯水槽などを使って雨水を集め、乾いた季節にも利用できるようにしていた。峡谷では突然の洪水が危険になることもあり、水を集めるだけでなく、その流れを制御することも必要だった。
観光写真では岩壁に彫られた神殿のような正面が目立つ。しかし、都市が長く栄えたのは、岩を美しく削る技術だけでなく、雨の少ない土地で水を確保する技術もあったからだ。