アフガニスタン西部の谷に、細長い塔が一本立っている。高さは約65メートル。大都市の中心に建っているわけではないのに、焼いたレンガの表面には文字や幾何学模様が細かく組み込まれている。ジャームのミナレットだ。

塔がつくられたのは12世紀末ごろ。ゴール朝がこの一帯で勢力を広げていた時代にさかのぼる。周囲には政治的・宗教的な中心地が存在したと考えられているが、現代では当時の都市の姿を伝える建物がほとんど残っていない。
研究者たちは塔の碑文や周囲の考古学的な痕跡から、その歴史を調べている。しかし洪水で足元の土地が削られたり、治安情勢が悪化したりすると、建物を守ることも調査を続けることも難しくなる。
都市の繁栄を象徴する建築は、普通なら周囲にも多くの遺構が残りそうだ。ジャームでは巨大な塔が孤立したように残っているため、かえって、ここに何があったのかという疑問を強く感じさせる。