ベナン南部のノコエ湖では、舟が学校や市場へ向かい、家々の間を通り抜ける。水面から杭を立てた家が並び、通りにあたる場所には道路ではなく水路がある。ガンビエは、水の上に生活のための町をつくり上げた場所だ。
なぜ、人々は陸地ではなく湖を選んだのだろう。そこには西アフリカの奴隷貿易と地域間の戦争が関わっている。ガンビエの起源については、17~18世紀ごろ、襲撃や奴隷狩りを避けた人々がノコエ湖へ移り住んだという伝承が残る。ベナンの観光当局も、周囲の勢力が水上での移動に不慣れだったことが、避難先として湖を選ぶ理由になったと説明している。
水の上なら安全だったとしても、暮らしを続けるには工夫がいる。住居を支える木の杭を管理し、食料や生活用品を舟で運び、湖の魚をとる。ガンビエには学校や商店、礼拝のための施設もあり、舟が人と物をつないでいる。
近年は観光地としても知られるが、水辺の町には水質や廃棄物、住居の維持といった課題もある。観光客が珍しい水上住宅を写真に収める一方で、住民にとって湖は毎日使う道路であり、仕事場でもある。
ガンビエを眺めると、水上に暮らすのは不便だからではなく、かつては水そのものが人々を守る地形だったことが分かってくる。町の形には、その土地が経験してきた歴史が残っている。
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