クジラの死は、深海の生き物にとって新しい生態系の始まりにもなる。
大きなクジラの死骸が海底に沈む現象は『鯨骨生物群集(ホエールフォール)』と呼ばれる。まず大型の掃除屋が軟らかい肉を食べ、周囲の泥も有機物で豊かになる。その後、骨に残る脂質や分解で生じる硫化物を利用する微生物が増え、その微生物に依存する生物も集まる。
NOAAによれば、骨の周囲の豊かな群集は数年から数十年続くことがある。太陽光の届かない深海でも、上から落ちてくる資源が生物の暮らしを長期間支えている。
大きなクジラの死骸が海底に沈むと、まず肉を食べる生物が集まり、その後は骨に含まれる物質を利用する微生物や、それに依存する生物が増える。時間とともに優勢な生物が入れ替わる。
太陽光の届かない深海でも、表層から沈んでくる巨大な有機物が局所的な生態系を長く支える。死骸が消えるまでの過程も、生き物のつながりの一部だ。