2022年1月15日、南太平洋の海底火山が大噴火を起こした。場所はトンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山。噴火は周辺に大きな被害をもたらしたが、その影響ははるか遠く、日本を含む世界各地でも観測された。
不思議なのは、海を渡ってきたのが津波だけではなかったことだ。噴火は大気中にも巨大な圧力の変化を生み、それが波となって地球を伝わった。
空気は目に見えない。しかし、圧力が変われば波が伝わる。音もその一つだ。トンガの噴火が生んだ大気の波は非常に大きく、世界各地の気圧計が変化を捉えた。衛星観測でも波が広がる様子が確認され、波は地球を何度も巡った。
さらに大気の変化は上空にも達し、人工衛星を使った電離圏の観測にも明瞭な異常が現れた。海の中から始まった噴火が、宇宙に近い高さの大気にまで影響したのである。
ここで注意したいのは、「地球を何周もした波」が巨大な津波を意味するわけではないことだ。地球を周回したと確認されたのは、主に大気中を伝わった圧力の波である。噴火による津波や降灰は、別の仕組みで深刻な被害を与えた。
トンガの近海で起きた噴火を、世界各地の気圧計がほぼ同時代の記録として残した。大気中の波は何周も伝わったが、それが津波そのものだったわけではない。別々の種類の波を観測で区別することが、この災害を理解する鍵になる。