オウムといえば、色鮮やかな羽で空を飛び、器用に枝を渡る鳥という印象がある。ところがニュージーランドには、その常識から大きく外れたオウムがいる。カカポだ。
緑色の羽毛に覆われ、丸い顔をしたこの鳥は、夜になると活動を始める。体重が数キロに達することもある大型のオウムだが、空を飛べない。翼はあるものの、主に地上を歩き、ときには木に登って暮らす。
さらに奇妙なのが繁殖だ。カカポは毎年決まって子育てをするわけではない。重要な餌となるリムという樹木が大量に実をつける年に、繁殖が促される。南部の生息地では、その好機が訪れるのはおおむね2〜4年に一度。雄は地面にくぼみを作り、低い音を響かせて雌を呼ぶ。鳴き声を聞きつけた雌がやって来るまで、長い求愛が続く。
この不思議な暮らしは、陸上に大型の捕食性哺乳類がほとんどいなかったニュージーランドの環境と深く関わっている。だが、人間が持ち込んだネコやオコジョなどの捕食者に対して、飛べないことは大きな弱点になった。
一時は個体数が極端に減り、現在は捕食者のいない島や保護区域で、専門家が一羽ずつ追跡するほど手厚く保護されている。
カカポが飛ばずに暮らすようになった土地は、昔は地上を狙う哺乳類の捕食者が少ない場所だった。現在、その条件は人間の持ち込んだ動物によって一変した。進化の歴史がつくった暮らし方を守るには、島の環境を人の手で管理する必要が生じている。