印刷史というと、ヨーロッパのグーテンベルクを思い浮かべる人が多い。しかし、金属の文字を並べて印刷する技術の歴史は、ヨーロッパに先立つ東アジアでも発展していた。
現存する『直指』とは
『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節』、通称**『直指』**は、高麗時代の1377年に金属活字で印刷された仏教書である。
ユネスコは、現存する金属活字印刷本のうち、年代が確認できる最古の実例として紹介している。
「世界で最初の印刷」とは違う
『直指』は世界最古の印刷物という意味ではない。木版印刷などはもっと前から存在していた。また、金属活字の使用自体はさらに早い時期にさかのぼる記録もある。
大切なのは、現在まで残る物証としての価値である。
印刷技術の発展をどう見るか
印刷技術は各地で異なる材料、言語、社会制度のもとに発展してきた。『直指』の存在は、印刷の歴史を一つの国や人物の発明だけで説明できないことを示している。