土星最大の衛星タイタンには、地球の水循環によく似た『別の液体の循環』がある。
タイタンの地表は約マイナス180℃と極端に冷たく、地球なら気体になるメタンやエタンが液体として存在できる。大気で雲が生まれ、雨が降り、川筋を通って湖や海へ集まり、蒸発する。探査機カッシーニはレーダーで湖や海を観測した。
ただし流れているのは水ではない。タイタンの極寒の地表では水の氷は岩石のように硬く、メタンが地球の水に近い役割を担う。表面の液体の存在と、生命がいるかどうかはまったく別の問題である。
地球で水が雲、雨、川、海を行き来するように、タイタンではメタンなどの炭化水素が似た循環をしている。タイタンの表面温度は非常に低く、水の氷は地球の岩のように硬い。
見た目は川や海でも、流れている液体の性質は地球とまったく違う。地形が似ていても、そこに同じ環境や生命が存在するとは限らない。