解説 · 生物

猫の毛色と遺伝:三毛猫がメスに多い理由と2025年の発見

三毛猫のまだら模様ができる細胞のしくみと、約60年の謎だったオレンジ色遺伝子の研究を整理する。

更新日:2026-10-29
猫の写真。写真は本文の研究対象個体を撮影したものとは限りません。
猫のイメージ写真・本文の研究対象個体ではありません写真:Ellisn95 / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0(表示領域に合わせてトリミング)

三毛猫の模様は、色を塗り分けたように見える。しかし、赤と黒の毛色は皮膚の細胞が持つ遺伝情報の働き方に由来する。

オレンジ色はX染色体と関係する

猫の毛色のうちオレンジ色になるかどうかはX染色体にある遺伝領域と関係する。一般にメスはX染色体を2本、オスは1本持つ。

メスの細胞では、通常2本のX染色体のうち片方が働きを弱められる。この現象をX染色体の不活性化という。オレンジ色の情報を持つXと、黒系の色の情報を持つXのどちらが働くかが細胞ごとに異なるため、オレンジと黒の部分がまだら模様になる。

白い部分の発生には、別の遺伝的な要素も関わる。三毛猫の模様が単一の遺伝子だけで決まるわけではない。

原因の遺伝子が分かったのは2025年

2025年、九州大学などの研究チームは、X染色体のARHGAP36遺伝子領域にある約5,000塩基の欠失がオレンジ色の毛に関連することを報告した。

猫のオレンジ色がX染色体に関係すること自体は以前から知られていた。しかし、具体的にどの遺伝子の変化が色を切り替えるのかは、長く未解明だった。

オスの三毛猫は絶対にいない?

『三毛猫は必ずメス』は言いすぎである。染色体数が通常と異なる個体や、特殊な発生上の事情によって、オスの三毛猫もまれに生まれる。

生物の遺伝の法則は例外がない暗記問題ではない。原理を知ると例外の理由も考えられるのが面白いところだ。

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REFERENCES

参考文献・出典

  1. 三毛猫の毛色を決める遺伝子をついに発見 ↗九州大学 (2025)
  2. Pseudogenization of a Sweet-Receptor Gene Accounts for Cats' Indifference toward Sugar ↗PLOS Genetics (2005)

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